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記事: ARAS1週間コーディネート。 日常の食卓から特別なシーンまで寄り添うARASの器。

ARAS1週間コーディネート。 日常の食卓から特別なシーンまで寄り添うARASの器。

ARAS1週間コーディネート。 日常の食卓から特別なシーンまで寄り添うARASの器。

こだわりのある方の日常使い食器ブランドARAS。
料理をより美味しく召し上がって頂くために開発され特徴的なデザインは、特別な日のおもてなしの器として捉える方もいらっしゃいます。しかし、使い勝手の良い素材だからこそ、朝から晩までの幅広い食卓シーンで気兼ねなくお使いいただきたく、ARASの人気商品大皿ウェーブを使用した1週間コーデを企画いたしました。
今回は、皆様の日常をコンセプトに、@emi5perhonen様に忙しい日のランチなどの手の込んだお料理までご紹介頂きました。

Day1.忙しい朝のモーニングプレート
仕事やご家族の準備で忙しい平日の朝。
時間をかけて朝食を作り、綺麗に盛り付け、ゆっくりと召し上がる時間、全てをするには時間が無いですよね。いつもの朝食もワンプレートで片付けまで簡単に、少しの時間と心の余裕で朝食を召し上がっていただける食体験を提供します。


▲大皿ウェーブ・フォーク(ホワイト)

朝食ということで、1番明るい"ホワイト"を使用し、見た目から明るくしました。食パンの上に乗っているのは、"金柑のジャム"です。手作りジャムにすることで、お好みの甘さにすることができます。大量の金柑のヘタを取り、砂糖で煮込んで作ったジャムを今回は乗せてみました。

Day2.テレワークの簡単パスタ
テレワークが主流になりましたね。頑張ったお仕事もひと休憩。サッと簡単に自宅で作れるパスタと一緒にARASをご使用してみてはいかがでしょうか。


▲大皿ウェーブ・フォーク(ピンクグレー)

下の机と同系色のグレーの中でも、"ピンクグレー"を使用し、パスタを目立たせる盛り付けにしました。さらに、余白を作り、パスタを少なめに盛り付けることで、お皿の素敵な陰影とパスタのバランスを考えました。

Day3.家族の和食プレート
1日の終わりは家族と一緒にほっこりと温かい和食を。手の込んだ食べ物も素敵ですが、みんなで囲む食卓はさらに素敵な食体験です。1日あったことを話しながらARASをご使用いただければ幸いです。


▲大皿ウェーブ・箸(ブラック・グレー)

メニューは、「コーンの炊き込みおにぎり」「鯵のフライ」「きのこや野菜の副菜」になります。和の落ち着いた印象を"ブラック"と"グレー"で表現しました。旬のとうもろこしを使用した炊き込みご飯ですが、実は軸の部分も入れて炊いているんです。香りが大変良くて、出汁もでるため、風味が出ます。他にも玉ねぎなどの野菜のブロスを冷凍庫で取っておき、使用することで料理に風味をプラスすることもあります。実の元となる部分のため、味に深みを出したいときにはピッタリです。

Day4.休日のゆっくりブランチ
休日は少し遅めに起きて、何を食べようか考えるのもいいですね。平日よりもちょっぴり時間をかけ、少しこだわりをプラスすることで、おうちごはんがまるでカフェのような素敵なお料理になります。


▲大皿ウェーブ・ナイフ・フォーク(ピンクグレー)

"ピンクグレー"の器を使用し、ブールを使用したオープンサンドにしました。いつもと違うこだわりとして、「リラックスした休日」を表現するため、"紫"を添えました。オープンサンドに紫キャベツの芽を添えることでアクセントになるんです。さらにナッツとレーズンを使用した"紫キャベツのラペ"や、手作りの紫蘇シロップで作った"紫蘇ジュース"も一緒に盛り付けました。赤紫蘇は栄養価が高く、夏にぴったりですし、お湯に砂糖、塩を入れて簡単に作れるので是非作ってみてください。

Day5.おもてなしプチパーティー
 お休みの日は家族やご友人とプチお家パーティーはいかがでしょうか。大皿のウェーブを使用し、オードブルスタイルにすることで、皆様で一緒にお食事時間をお過ごしいただけます。


▲大皿ウェーブ・ナイフ・フォーク(ホワイト・ブラック・グレー・グリーングレー)

プチパーティーということで、「トリュフのピザ」「鯛とアサリのアクアパッツァ」「ムール貝の酒蒸し」「パセリとハーブソルトの付け合わせポテト」「白ワイン」を並べてみました。テーブルコーディネートには庭に咲いていたシーアンの紫陽花を並べました。昨日は、1年間無病息災となるよう、紫陽花守りもしました。

ARASをお使いいただいた感想
 最初は、高級感のある特別なイメージでした。しかし、実際使用してみると「素材の扱いやすさ」や「料理を重ねたときの良いニュアンス」を感じました。カトラリーも口当たりが良く、先端が細いため刺さりやすかったです。私は、このような食器を特別なものとしてとっておく必要はないと思っています。例えば、ラーメンや焼きそばでも、気に入っている器と使うと良い気持ちになります。そういう時にぴったりな器だと思いました。
なんでもないときの普段の料理で食卓を囲んでも満たされました。生活はまさにそれだと感じています。

 いかがだったでしょうか。少しでも皆様の日常にARASが寄り添えることができれば幸いです。今後も皆様に素敵な食体験を提供できるよう、一歩ずつ成長したいと考えております。ARAS InstagramアカウントでもARAS1週間コーデを取り上げております。こちらもぜひご覧くださいませ。

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薬膳と食の共存。日常から簡単に取り入れられる薬膳料理でより良い生活を。

薬膳と食の共存。日常から簡単に取り入れられる薬膳料理でより良い生活を。

なかなか普段の生活に取り入れづらいと思われているの薬膳。しかし、すべての食材に薬膳の効果があり、日常から簡単に薬膳を取り入れられます。今回、薬膳マイスターの松山様に薬膳と食の共存に関してインタビューさせていただきました。また、ARASの深皿スクープとスプーン・フォークを用いて、この夏に食べたい薬膳料理「ホタテと長芋とズッキーニのすだちマリネの冷製カッペリーニ風そうめん」を考案いただきましたのでぜひご覧ください。 薬膳とは 簡単に言えば普段食べている食べ物すべてに効果があり、薬膳です。一番は重要なのは、季節のものを食べるということ。その季節に合った効能が取れるため、夏は夏野菜やそのときにとれる魚などを食べていれば間違えはありません。例えば、夏場は体を冷やす食べ物が多く、うちにこもった熱を下げてくれます。夏野菜を冬に食べてしまうと、体の中の熱を下げてしまうため体が冷えてしまいます。冬野菜は体をあっためてくれるものが多いため、冬は冬野菜をとるのがおすすめです。 薬膳というもの自体が、普段の食事の考え方。 薬膳と聞くと難しそうなイメージがあると思いますが、食事そのものが薬膳です。長芋は薬として使われていたりしますし、しょうがやみかんの皮などもその一例です。苦い薬や漢方も体には良いですが、薬膳は食事で美味しく体に良いものを摂取できるというイメージです。薬膳を意識することで普段の食事からちょっとしたものを取り入れるだけで体によく健康的になります。例えば、普段の食事からゴマをちょっとぱらぱらするだけで、老化防止に効果のあるゴマの栄養もとれます。 薬でとると苦いものになりますが、食事というカタチでとることで美味しく健康的になれるため、私の中では食べる薬、食薬というイメージです。本当に漢方とかではなく、普段から旬の食材を食べるだけで薬膳になります。 今回の料理も旬の素材 ホタテはちょうど貝柱が美味しい時期ですよね。ホタテは滋養強壮、夏ばてを元気づけてくれる食材ですごく体にいいんです。タウリン・タンパク質が豊富で低カロリーなので食べるビタミン剤というイメージです。ズッキーニは体の熱を冷ましてくれますし、長芋は免疫力をUPしてくれます。すだちはこの暑い時期にとるとすごく体にいい成分がとれます。酸味を加えようと思い、最初は酢やレモンを考えていましたが、すだちの方が成分的にすごく良く、疲労回復、抗酸化作用だけでなく、美容やダイエットに良いスーパーフードのためすだちを加えました。 今回の料理を選んだ理由 ARASを見た瞬間、すごくおしゃれでしっかりした食器に見えるのに軽くてびっくりしました。この高級感あるお皿に何を載せようかを考えて、最初はトマト・シソとかを使用しようと思いましたが、食材を買いにいったときに旬の美味しそうなホタテがあったので、ホタテやズッキーニ・すだちを使用したカッペリーニ風そうめんにしようと思いました。ホタテ・ズッキーニ・すだちなどを使用して料理がグリーンとホワイトの際立つきれいな色合いになったので、コントラストの分かりやすいブラックとホワイトのお皿を使用して料理全体が映えるようにしたいと思いました。 ARASを使った感想 子どもがいるので割れるお皿より使いやすいなと思いました。家族が多いので洗い物も多くて大変なのですが、洗うのも軽いので簡単で、割れる心配もないのでよかったです。しまうときもさっとしまえてがちゃんってならないのが良くて、使っていく中でのストレスが全然なくて気持ちが楽に感じました。あと、すごくいいと思ったのが重ねられることです。家族が多く、収納が大変なので、重ねられて割れないもの安心です。お子さん持っている人にも喜ばれそうですよね。私もいろいろ探しましたが、キャッチーなものしかなくて、かっこよくて使いやすい子供用ものがあったら良さそうだと思いました。特に子どもってがちゃがちゃやっちゃうので、音がならないのがすごく良くて、割れるものだとよそ見している間に落としたりもするので無意識のうちにも気を遣ってしまいます。 写真を撮っても高級なお皿に見えるし、簡単な料理もオシャレに盛りつけられるので一人の時のランチで簡単に済ませたいときにもARASに盛りつけるだけで気分が上がりそうだなと思いました。 ※写真はホワイトとグリーングレー 松山様の考えるより良い生活 家族のために、健康で美味しい料理を作りたいと思っています。毎日忙しいですが、手間を省ける部分ははぶいて、それでも見た目は上級でありたいです。ARASは洗うのが簡単で割れないし、重ねられる、でも見た目は上級でレストランにきたようなお皿なので、使いやすくて手軽なものでストレスなく使用できて、精神的にもあげられるようなお皿だと思います。料理もそうですが、旬の食材をつかったり、簡単なものだけど薬膳の効果とちょっと考えたりするだけで健康にも良く考え方もポジティブになり、より良い生活になると思います。薬膳は普段から触れている食材それぞれにあるので、自分の体調や気分と照らし合わせて作ってくれたり、ちょっと食べすぎたなという日でも今日食べたものの薬膳効果を調べて身体に良かったんだなと思ってもらえたりすると嬉しいです。  夏の旬の素材をふんだんに使用したカッペリーニ風そうめん、ぜひ作ってみてください。 〇材料(2~3人分) ホタテ貝柱(刺身用) 200gズッキーニ 1本(正味150g)長芋 正味100gそうめん(乾麺) 200gすだち 1~2個A:めんつゆ(3倍濃縮)・オリーブオイル 各大さじ2A:砂糖 小さじ2A:昆布茶 小さじ1A:塩・こしょう 極少々めんつゆ 大さじ1オリーブオイル 適量 〇作り方 <下準備> ホタテ貝柱は大きい場合は半分に切る。 ズッキーニは薄くスライスする。 すだちは輪切りにする。(種はなるべく取る。) 長芋は皮を剥き、薄い半月切りにする。 ①  ポリ袋にホタテの貝柱、ズッキーニ、長芋、すだちとAを入れて混ぜ、なるべく空気を抜いて口を縛り、冷蔵庫で15~20分置く。 ② そうめんは袋の表示通りに茹で、氷水にさらし、水気をしっかりきる。 ③ ①とそうめんをボウルに入れ、めんつゆ大さじ1を入れて和えたら器に盛り、オリーブオイルを垂らして出来上がり!  薬膳効果 ・帆立て貝…滋養強壮、老化防止、視力回復、めまい、のぼせに・ズッキーニ...余分な熱を取り除き、喉の渇きや肺の乾燥を潤す・長芋...糖尿病予防、生活習慣病予防、食欲不振に、滋養強壮、老化防止、疲労回復、免疫力アップ・すだち…消化促進、食欲増進、のどの渇きに、肌の乾燥に、疲労回復に・オリーブオイル…便秘に、肌の乾燥に、咳やのどの痛みに ワンポイントアドバイス: そうめんは氷水できゅっと冷やす。 スダチのたねは取らないと苦みがでるので取る。スダチがなければ、レモンやお酢でもOK。 めんつゆは3倍濃縮を使用。  

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ARASで、食卓に涼やかさと立体感を。岡川“ぽんた”透さんの創作料理と器のセッション。新カラー「スモーク」シリーズと「ななめ小鉢」で彩る日常の食体験。【前編】

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ARASのJournalでは、ご家庭でARASの使い方や盛り付けの幅を広げていくため、定期的に料理人さんとのコラボ対談を行っています。今回は、PLAT HOMEオーナーの岡川“ぽんた”透さんとARASのデザインを手掛けるsecca inc.代表の上町達也さんの対談です。ARASの新カラー「スモーク」シリーズと『ななめ小鉢』の発売に際し、岡川さんにARASの器を用いて料理を盛り付けていただき、盛り付けの楽しみ方や器と料理の考え方などをお話いただいています。こちらはその【前編】です。プロの料理人さんのARASを使用する際の盛り付けの考え方や楽しみ方、実際の盛り付け例などをお楽しみください。 《PLAT HOME》 PLAT HOMEは金沢市彦三町にある創作料理店。築100年以上の日本の蔵を改装し、内装には日本の古道具をはじめ、アメリカやヨーロッパのアンティークが使用されている。洗練された和食ベースの創作料理とぬくもりが調和する空間。  《ARAS item》 『大皿ウェーブ』『深皿スクープ』から、すりガラスのような“スモークカラー”の新色「スモークブルー」と「スモークグレー」。『ななめ小鉢』は、特徴的な斜めのカタチが、並べた時や、重ねた時にも食卓に動きを生み出す。   料理と器のセッション 上町今回の趣旨としては、器を「道具」として使うだけでなく、「器のある生活」を届けたいという想いがあります。ライフスタイルとしての「ARASのある生活」をシェアしていきたい。 料理が好きな人であっても、器に触れて、その場で「こういう料理をつくってみよう」と発想できる人はなかなかいません。そういう意味でも、岡川さんのような信頼のおける料理人からヒントをいただこうと思いました。 岡川料理の楽しみ方は人それぞれだと思っています。たとえば、この『ななめ小鉢』を裏返して使ってもいい。そこに正解はありません。ちょっとした遊び心で料理の景色は豊かになります。今回も、「僕ならこう盛り付けるよ」というイメージでつくりました。  【材料】 真鯛、金時草、行者にんにく、酒粕、シソの花、えんどう豆のツル  岡川「波=海」という発想から魚を選び、酒粕をパウダー状に散らして砂浜を表現しました。アクセントとして、春に採れた行者にんにくをペースト状にしてソースに。上からシソの花と、えんどう豆のツル。波の皿らしく初夏のイメージで、器の景色を楽しんでいただけるように盛り付けました。     【材料】 国産牛、かぼちゃ、トマト、甘酒、ガリ(生姜)  岡川対照的に、こちらはフラットな面を見せて肉を盛り付けました。かぼちゃをペースト状にして色彩を。トマトは甘酒とショウガのガリを和えました。 器は、料理の着物 上町岡川さんはプロの料理人として、「器」という存在とどのように対峙しているのでしょう。器に求める役割はあるのでしょうか? 岡川和食だからこそ、器は一つのアクセントになります。今でこそ、ハーブや野菜でカラフルに仕立てる料理をつくることもありますが、基本的に和食は色味が控えめなものが多い。そういう意味でも、「料理の着物」と表現されるほど、和食は器を重要視しています。 それは風味にも影響します。料理が全体の風味を構成する80%だとすれば、残りの20%は「どの器に盛り付けるか」で補填される。器を含めて、100%の風味を考えていく。 上町料理の景色が味覚に影響するということですよね。岡川さんの料理の視点と、表現としての器の関係性はとても興味深いです。店で使用する器は、作家さんによるオリジナルのモノが多いと思うのですが、岡川さんはそれらの器にご自身をどのように投影しているのでしょう?  岡川その人が経験してきた中で生まれたモノには、必ずオリジナリティが現れます。それは器だけでなく、料理にしても同じで。たとえば、僕が今まで修行してきたことをそのまま誰かに教えたとしても、風味も見た目もわずかに変わります。全く同じ料理にはならない。それが、その人の「個性」であり、本質的な部分だと思っています。  僕とフィーリングが合う人の器であれば、必ず料理とマッチします。人となりが合う人なら、料理と器の相性も良い。お互いを高め合える関係性を構築できる。僕が作家さんと直接やりとりして器をオーダーすることが多いのはそのような理由です。 上町料理と器の関係性が、風味を引き上げる。「会話の中でしか生まれないモノをつくりたい」という僕たちの目指している世界とかなり近いですね。 PLAT HOMEという「場所」、岡川“ぽんた”透という「人」  岡川名前の由来は二つ。一つ目は、ぷらっと、家(home)に来る気分で、お店に遊びに来てほしいという想いから。二つ目は、電車の乗降場「プラットホーム(platform)」のイメージです。出会いと旅立ちの流れの中で、この空間を経由してもらえたらうれしい。この場所での出会いから、物語が派生してゆく。  僕の出身は、金沢の東山というエリアです。伝統的な建造物が並ぶ、昔ながらの風景がそのまま残っている場所。祖母が芸妓で、お座敷にも出ていて、踊りを教えていました。母も僕と弟が生まれるまでは芸妓として働いていた。東山という街は、住んでいる人よりも、店をしている人の方が多い。  自由軒というレストランがあり、料理人の若い兄さんたちが、幼い僕たちを構ってくれていました。店の裏側にいると、「お料理下げてきて」とか「洗い物しておいて」と声をかけてくれる。それが僕たちにとっての遊びでした。兄さんたちとのやりとりや、働いている風景がとても楽しそうだった。「食」の世界へ興味を抱いたのはそこからです。   上町物心ついた頃から、金沢の伝統的な文化の中に身を置いていた。そこから料理人になっていったのでしょうか?  岡川20~30歳までの10年間は「自分の店を持つ」という目標で進んできました。30歳からの10年間は、たくさんのことを経験し、幅を広げることを目標にした。「和食」という枠を取っ払い、「料理」という概念まで広げて解釈した。中華、フレンチ、イタリアン、エスニック……いろんなアイデアを和食にいかに落とし込むか、という考え方です。  おもしろいもので、20代、30代と経験してきたものを取り入れて創作してきた料理が、最近になって収斂されている感覚があります。にぎやかだった料理が、少しずつシンプルになっていく。素材に対する考え方がしなやかになり、調理の中での「遊び心」がわかってきたのも、ここ数年の変化かもしれません。  僕にとっても、この場所は「プラットホーム」です。終着点ではなく、この先に自分の夢がある。  上町その夢について聴かせてもらえますか?  岡川いずれ東山に帰り、店を開くことが一つの目標です。カウンターのみ、和食の王道に近い会席料理のスタイルで、目の届く範囲のお客さんにコース料理を提供する。今までで自分が経験してきたもの──国内外で見たもの、食べたもの、感じたもの、すべてを和食に落とし込んで、東山という場所で表現したい。  だからこそ、いろいろなものを体験することは大事で。積極的に海外に足を運び、「食」に対する様々なアプローチを取り入れています。文化が異なれば、同じ食材でも使い方に個性が出ます。幅を広げる中で、時間をかけて削ぎ落してゆき、最終的にシンプルな和食の世界を表現したい。 上町和食にカジュアルな要素を取り入れているのは、料理人としての幅を広げるための仕組みだった。岡川さんのこれからが、とても楽しみです。 【後編】へ続く

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