暮らしの中にARASを

暮らしの中にARASを

ARASのプロダクトデザイナーである上町達也さんが、ARASアンバサダーの幸美さんのご自宅をお伺いして、対談しました。その模様をお届けします。

事前に上町さんに幸美さんの印象を尋ねたところ、「Instagramの投稿では、料理とコーディネートはもちろんのこと、カメラにおける光の環境も、色味も、つくり込みも綺麗に施されていて、一つひとつのセレクトにクリエイティブに対する感度の高さを感じています。“どういう方なんだろう?”とずっと気になっていたので、今回お話しできることがとても楽しみです」と話してくれました。

料理と器

上町:
幸美さんがお料理に目覚められたきっかけは何だったのでしょうか?

幸美様:
実は、結婚するまで料理は何もできませんでした。カレーをつくることさえままならないほどだったのですが、夫が食べることが好きで、そこからいろいろとつくるようになりました。 

上町:
ご家族に食べてもらう喜びから、料理に目覚めたんですね。「料理をすること」と「道具を揃えること」は、嗜好性として少しニュアンスが異なる気がするのですが、器に対する興味関心は、いつ芽生えたのでしょう?

幸美様:
三年前からです。近所にお気に入りの雑貨屋さんがあり、そこで作家さんがおつくりになった陶磁器や硝子の器に触れたことがきっかけです。 

上町:
幸美さんのご自宅の空間を見ていると、モノがお好きなことは伝わってきます。インテリアに関しても、もともとご興味が? 

幸美様:
そうですね。古物も好きですし。特に夫が好きで、いつも二人で買い物をしています。 

暮らしの中のARAS

上町:
これまで、ARASを利用していてよかったと思えるシーンについて聞かせてください。 

幸美様:
カラーバリエーションが豊富で、器の色味によって盛り付けを考えることが楽しく、他のカラーと合わせてもコーディネートがまとまりやすいですよね。ARASの器だけでなく、陶磁器や硝子の食器と並んでいても自然に馴染むところも魅力です。

あと、買ってきたものを盛り付けだけでも、器が料理を引き立ててくれますよね。深皿にお刺身の四点盛りを載せると、きゅっとまとまります。

上町:
僕たちもチーム内で、「肩の力を抜いて使ってもらいたい」という話をしています。器に料理を盛り付ける時、後の洗い物のことなども頭によぎりますよね。割れ物だと余計に注意を払わなければいけません。だから、デザインが担保されていて、気軽にすっと手を伸ばせる器があったらいいなという想いでつくってきました。幸美さんが仰っていただいた言葉は、僕にとっても非常にうれしいポイントでした。 

一枚一枚、表情が違うお皿

上町:
ARASにはじめて触れた時の印象はいかがでしたか?

幸美様:
とても不思議な感覚でした。手に触れた質感も、洗った時の水の弾き方も、お料理の匂いも全然移らなくて。それまでわたしの思っていた樹脂とはまた違った印象でした。

 上町:
一口に“樹脂”と言っても、実は一万種類以上あります。開発チームがその中から最適な素材を選んで器づくりをしています。ARASならではの独特の質感や機能性は、素材のセレクトから生まれています。 

幸美様:
一枚一枚、模様が違いますよね。

上町:
ランダムに現れる模様は、制作のプロセスで素材に自由に暴れてもらっています。ただ、単純に金型に素材を流せば自然とこれらの模様が生まれるわけではなく、素材の量に合わせて、初動の圧力、数秒後の圧力……と、複数のステップにわけて微調整をしてつくっています。樹脂製品は、生産レーンで機械が無機質につくっているイメージがありますが、僕たちの場合は“人”が細やかな調整をしなければできないつくり方をしています。 

幸美様:
一枚一枚、スペシャルな器ですね。

上町:
樹脂製品で一期一会の器を、どのようにつくるか。それが僕たちデザイナーのミッションでした。たとえば、カトラリーなどでも、柄の部分がマーブル調になっています。一般的な方法では、加飾して塗装したり、シートを貼ったりして、模様をしつらえているのですが、そうするとリサイクル性が悪くなります。ですので、何の加飾も、塗装もせず、どれだけ質感を高めることができるかにチャレンジしました。ですので、模様はそれぞれ表情が異なりますが、リサイクル材としても使用できます。 

「均質につくることが正義」という樹脂製品の価値観を大きく変えたアプローチでした。

ヒートコレクション

幸美様:
カタチも本当に素敵で、今回のヒートコレクションも、横のくびれのラインがとても美しいですよね。お写真を拝見した時、シンプルに「あ、六角形だ」と思っていたのですが、届いて実際に触れてみると綺麗なくびれのラインがあってときめきました。 

上町:
そこに注目してくださり、とてもうれしいです。お料理を冷蔵庫の中で一度休ませるなど、保存する時のシーンを想像して設計しました。フラットだと、器を底から持ち上げないといけません。そうすると手に負担がかかるので、このゆるやかなラインが手にフィットしてやさしく支えてくれます。

幸美様:
見た目だけでなく、手に馴染みやすいことも考えられているんですね。お色味も素敵で、「全部ほしい」と思っちゃうくらい好きなカラーです。色合わせが楽しそうなのでレッドブラウンに惹かれました。

今回のヒートコレクションでは、秋の食材で和食の盛り付けをしてみようと思っています。たとえば、ちらし寿司は盛り付けに悩んだりするのですが、この器だと角があるので綺麗に盛り付けることができそうだな、とか。小サイズだとお茶碗一杯分くらいごはんが入るので、いくつか用意して食卓に並べてもかわいいですよね。あと、韓国料理とも相性が良い気がして。そんな妄想を膨らませています。

上町:
それはぜひとも見てみたいですし、食べてみたいです(笑)

逆さ使いなどはイメージされていますか?ヒートコレクションでは、上下反転させてフードカバーのようなスタイルでも使えて、お料理のカタチを崩したくないシーンや、外気に触れさせたくないケーキの保存などにも最適です。 

幸美様:
和菓子が良いかもしれませんね。深鉢だけでなく、セットで電子レンジに入れられるんですか?

上町:
深鉢ロッカクも、平皿ロッカクも同じ素材ですので問題ありません。

 幸美様:
普段はあまり電子レンジを使わないので、これを機にシュウマイなど、レンジ蒸しにチャレンジしてみたいです。 

色で楽しむ

上町:
色使いがとてもお上手ですので、組み合わせをイメージしながらカラーを選ばれていらっしゃる気がしています。お色に関してはいかがでしょうか? 

幸美様:
シンプルなスモーキーカラーが好きです。あと、白色が好きで、ARAS以外の器でもいくつか揃えています。ただ、はっきりとした白だとコーディネートの際に全体から浮いてしまうことがあって難しい色味だとも感じています。ARASの白は少しグレーっぽくて他の色味とも馴染みやすいですし、わたしの好みです。

 

上町:
僕たちの想いを受け取ってくださっていて、とてもうれしいです。仰る通り、真っ白だとサラダを盛り付けても、どこかケバケバした印象になってしまいます。自然な白に見えるようにつくったのがARASのオリジナルカラーで、真っ白の隣に置くと少しグレーを帯びているくらいのニュアンスです。 

幸美さんの色のコーディネートは、ARASチームでいつも話題になっています。マンゴー料理をピンクグレーのモアレに盛り付けてくださったお写真は強く印象に残っていて、本当に素敵でした。

幸美様:
ピンクグレーはオレンジとも相性が良いですよね。私も作家さんがおつくりになったピンクの器を持っているのですが、春っぽいイメージが強いので春先の時期にしか基本的には出しません。ですが、ARASのピンクグレーは落ち着いたピンクで、大人っぽいイメージがあって、年間通して使いやすいですよね。

 

ARASの「あるといいな」

上町:
これからARASに「こんなことをしてほしい」というご要望はありますか? 

幸美様:
カトラリーだとサーブ用のトングやお玉があるとうれしいです。深鉢も、鍋っぽいものをつくり置いて、夜に温めるのでも十分なサイズ感ですよね。だから、そこにお玉があればかわいいですよね。

上町:
確かに、取り分け用のカトラリーはいいかもしれませんね。さっそくチームで共有して、イメージを膨らませたいと思います。貴重なご意見、ありがとうございます。

対談の感想

上町:
幸美さんのご自宅にお邪魔して、どのような生活の中に僕たちのつくった器があるのかを観ることができて、とてもうれしかったです。庭で拾った松ぼっくり、趣味にあふれた部屋、上品に並んだお酒のボトル……モノが好きで、大切にされていらっしゃることが自然と伝わってきました。 

僕たちが目指しているのは、ARASがある暮らしをデザインすること。それは、道具をデザインするだけでなく、その先にある体験や感情を含めたデザインです。生活すること自体を楽しんでいらっしゃる幸美さんのような方が、ARASの器を選んでくださっていることをリアルなコミュニケーションの中で知ることができて、とても励みになりました。

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